今日は生活保護について。
生活保護の事は知っていましたが、『国からお金が貰える』という漠然とした事しか知りませんでした。
生活が苦しい人は生活保護を貰えばいい。
生活保護を不正受給している。
なんていう言葉を目にしますが、そもそも生活保護を受けるためにはどんな条件が必要なのか。それが知りたくなり、少し調べてみました。
もちろん、生活に困っているからちおう単純な話ではないことは分かっています。
具体的に生活保護を受給するためには、どんな条件が必要なのでしょう。
少し長丁場になりますが、一つずつ見ていきたいと思います。
- 生活保護を受けるには世帯収入が13万以下
- 家族や親族などから援助が受けられない人が受給できる
- 受給申請に年齢制限はない
- 働いていても問題なく受給可能
- 貯金・土地・車など財産が持っていないことも条件
- 本当に困っている人に使ってほしい
生活保護を受けるには世帯収入が13万以下
生活保護を受給するためには、世帯収入が最低生活費である13万円よりも少ないことが一つ挙げられます。
年収にするならば、156万円以下という事になります。
受給するための条件の中で、一番重要視されている部分がこの世帯収入です。
→ここで一つ注意点
この『最低生活費が13万円以下』というのは、東京都内に一人暮らしの場合であり、住んでいる地域や世帯人数により金額は異なりますので、お住まいの地域で定められている最低生活費を調べることが必要です。
生活扶助(第1類)+生活扶助(第2類)+住宅扶助 + その他の扶助=最低生活費
となります。
少し詳しく見てみましょう。
・生活扶助(第2類)→光熱費、家具家電の購入費用
・住宅扶助 →自宅の家賃を支払うための費用
・その他の扶助 →障碍者やシングルマザーなどの場合は、障害加算、母子加算といった費用
生活扶助の1類、2類はそれぞれ使用目的が制限されていますので、注意が必要になります。
この全ての扶助を合計した金額が最低生活費よりも世帯収入が少ない場合、生活保護の対象となります。
もちろん、外国人であったとしても永住権を持っている場合は生活保護を受給できます。
生活保護はご存知の通り、僕たち国民の税金が使われています。
そのため、本当に援助が必要な人にのみ支給されます。
最低生活費以下であったとしても、親や親族などに資産があり援助が可能だと判断された場合は受給することができません。
生活保護を申請すると、援助してくれる身内がいないという事を確認するために三親等の親族に連絡が入ります。
ただし、親や親族などから虐待などの精神的苦痛を受けている場合は、社会福祉事務所に相談すれば例外として生活保護を受給することができます。
家族や親族などから援助が受けられない人が受給できる
上述したように、身内からの援助が受けられないという事が生活保護の受給条件の一つになります。
何より生活保護法にも記述されています。
民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。
三親等以内の親族は「扶養義務者」と呼ばれており、お金の援助や自宅に住まわせることが可能かどうかを確認するために扶養調査が行われます。
しかし、扶養義務者ではありますが、身内を養うという法的義務はありませんので、援助を断るケースも多くあるそうです。
三親等までの親族から援助を断る返事や、期限までに返事がなかった場合は生活保護の受給対象となります。
受給申請に年齢制限はない
病気やケガなどで働くことができず収入がなくて困っている方などは生活保護を受けることが可能です。
生活保護に年齢制限はなく0歳から100歳まで誰でも受給することができます。
例えば…
22歳の男性が、うつ病により働けないと医師から診断された場合など。
注意点としては、自己申告では難しいという部分です。
うつ病やパニック障害など精神病の場合、症状の深刻度合いが伝わりにくい場合があります。つまり、本当に働けない状態であったとしても”働けない状態”だと認定してもらいにくいからです。
病気やケガがある場合は、必ず病院で診断書を作成してもらうことが最善だと言えます。
働いていても問題なく受給可能
働いていたとしても毎月の収入が制定生活費よりも少ない人も生活保護の対象となります。
このことは、厚労省の【「生活保護制度」に関するQ&A】にも記載されています。
Q.9 働いているのですが、生活保護を受給することはできますか。
A.9 働いていて、就労収入がある方でも、その収入及び資産が厚生労働大臣が定める基準(最低生活費)に満たない場合には、生活保護を受給することができます。この場合、収入と最低生活費を比較して、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。
働いていたとしても収入が最低生活費に達しない場合、その足りない金額を生活保護で補ってもらえるということです。
例えば…
毎月のお給料が9万円だった場合、4万円分を生活保護費として支給してくれる
という事になります。
※最低生活費が月額13万円だった場合
真面目に働いていたとしても、収入が少なく生活が苦しい場合は受給申請を考えてみてもいいかと思います。
貯金・土地・車など財産が持っていないことも条件
最低生活費以外にも、貯金や土地、車など財産となるものを持っていないことも重要なポイントになります。
これについては説明する必要もないかと思います。
しかし、貯金に関しては完全に”0”でなければならないわけではなく、最低生活費の半額以下であれば貯金も認められています。
最低生活費が13万円だった場合、半分以下の6万5千円までであれば持っていても大丈夫ということになります。
気になる車の場合ですが、車の所有に関しては生活に必要であれば所有することも認められています。
もちろん、売却することが原則ですが、障害を持っており通院のために車が必要だとか、公共交通機関がなく車がないと移動が難しいという場合は所有しておくことが認められています。
念の為ですが、土地は所有しておく必要がありませんし、宝石や貴金属、ブランド品なども高価で売却できるものなどは売却する必要があります
本当に困っている人に使ってほしい
いかがだったでしょうか。
当然ですが、結構厳しい基準だなぁと感じました。
『三親等まで調査される』という部分に於いては「徹底しているなぁ」と感心しました。
不正受給なんていう話も耳にしたりしますからね。
国的にも緩い審査で誰でも彼でも生活保護をしていたら財政的にも負担が大きくなりますし、何より国民からの声がありますしね。
2021年1月の時点で生活保護受給者数は約205万人。
人員としては前年度よりも減少傾向にあるようですが、受給世帯としては増加。
保護申請件数も増加であり、保護開始世帯数も増加となっているようです。
現在日本もかなり厳しい状況が続いており、働きたくても働けない人などがたくさんいるかと思います。
不況という状況の中で、生活保護という選択をすることも一つの決断だと思います。
世間では生活保護に対して冷ややかな声を挙げる方もいますが、本当に困っている人には受給してもらうべきだと僕は考えます。
2015年と少し前の話になりますが、厚労省が不正受給の状況を資料として公表しました。(社会援護局 詳細資料ー2)
不正受給件数は4万3938件
不正金額は169億9408万円(過年度の支出分を含む)
1件あたりの金額は38万7千円
これに伴う生活保護の停止、廃止は1万587件
悪質性が高いとして刑事告発に至ったのは159件
約170億円が不正受給されていたというのは非生活保護受給者として許すことができない金額だと思います。
ですが、2015年度の生活保護費は総額3兆7786億円(予算ベース)
不正受給金額を総額で割ると…なんと『0.45%』
1%にも満たないという比率ですから、残りの99.55%は本当に困っている生活保護者ということになります。
つまり、不正受給よりも正当受給の方が多いという事になります。
政府側も年々生活保護申請者に対しての審査のハードルを上げたり、細かな調査を行っているようで不正受給の排除に努めているようです。
少し長くなりましたが、生活保護を受けている人が頑張って生活保護を辞め社会に貢献できるようになれば日本にとって大きな力になると思います。
一人でも多くの生活保護受給者を救って日本の力になってくれることを願っています。